「誤飲」?「誤嚥」? どっちがどっち?

消化器内科

 

4月も終わりを迎える頃までは、例年と比べても比較的に涼しく快適な気候が続き、うっかり「今年はいつもよりは過ごしやすい一年になってくれるのかもな」などと思わされてしまった途端、手のひらを返したかのように、沖縄が“本気”を出し始めた今日この頃。

日を追うごとに不快指数も加速度的に高まりつつある中、皆さんいかがお過ごしでしょうか。どうも、こんにちは。山城です。

 

それでは、何の脈絡も突拍子もありませんが、ここで一句



異物誤飲 まずは焦らず 呼吸みる



相変わらずの“強引”な話の導入ぶりにきっと呆れられておられることでしょうが、これも何かの“ご縁”ということで、今日は 「誤飲」「誤嚥」について、少しお話を聞いていってもらえればと思います。

 

まず、ごく簡潔に「誤飲」と「誤嚥」との違いについて説明しますと、「誤飲」とは「飲食物ではない“異物”を、誤って飲み込んでしまうこと」を言い、「誤嚥」とは「飲み込んだ飲食物などが、食道ではなく気道の方に入ってしまうこと」を指します。

要するに、飲み込まれた異物の行き着く先がまったく異なっており、食道や胃といった「消化管」の方に行ってしまった場合を「誤飲」と言い、気道や肺の方に行ってしまった場合を「誤嚥」と言うのです。

 

ちなみに、一般的には口から入ったものは、その9割以上が消化管の方に行くと言われているのですが、何かの拍子に気道の方に行ってしまうと、つまり「誤嚥」を起こしてしまうと、すぐに激しい咳き込みが出たりと、即座に強烈な反応が引き起こされます。

場合によっては、呼吸状態の悪化まで引き起こし、命を危険に晒してしまうおそれもある点が、「誤嚥」の恐ろしさだと言えます。

 

「まだ小さい子がピーナッツを誤嚥してしまい、それが気管の中で膨らんだ結果、気道が閉塞されてしまった」

 

──などというような、身近で誰にでも起こり得るケースも数多く報告されていますので、特に小さなお子さまが「誤嚥したな」と思ったら、すぐにでも救急病院を受診された方が良いでしょう。

 

 

一方、異物が消化管の方に行った場合、つまりは「誤飲」した場合に関して言えば、結果的にほとんど何も症状が出ないことが多いです。

 

一般的に、口から食道に入った時点で、9割以上のものが放っておいても自然に腸を通って便に交じって排出されると言われています。

この排出までのプロセスを「異物」の立場から見てみると、口から入って肛門から出ていくまでに全部で6つの“関門”があるんですが、まず最初の関門となるのが咽頭の「食道入口部」

ここを越えてなお消化管に残れるものは、もう1割以下になってしまうため、ほとんどのものは排出される運命を辿ることになるんです。

 

さらに「食道」を越えて「胃」にまで辿り着くと、その確率は95%にまで上がり、さらに「十二指腸」、つまり「小腸」の方にまで辿り着くと、異物が自然排出される確率は99%にまで達すると言われています。

ですので、「誤嚥」した場合と比べて、基本的には「誤飲」した場合の方がずっと緊急性は低いと言えるでしょう。

 

ちなみに、誤飲してしまった場合にも「安全」あるいは「安心して様子見して大丈夫」とされるものとしては、コインパチンコ玉ビー玉ボタンなどが挙げられます。

そのほか、中性洗剤やシャボン玉液、石鹸、お菓子の乾燥剤やクレヨンなども毒性は低く、比較的に安全だと言えるでしょう。

 

これらのものは、うっかり飲み込んでしまっても問題になることはほとんどありません。

だから、よく「子どもがビー玉を飲み込んでしまった!」などと言って病院に駆け込まれてくる方も多いんですが、実際には、そこまで焦らなくても大丈夫な場合がほとんどだったりするんです。



とは言え、誤飲してしまった異物の内容によっては、その限りではありません

例えば、針や釘、ガラス片などの鋭利なものだったり、電池やボタン電池だったりなどは、身の回りに溢れている“安全とは言えない異物”の代表例だと言えるでしょう。

 

鋭利な異物に関しては、意外と上手に肛門から排出されることも多いんですが、電池に関しては、体内で放電して粘膜障害を引き起こすことも多いと言われているため、ちょっとばかし緊急性も高くはなってきます。

 

 

それから、よく「誤飲」されてしまうものの中でも、とりわけ危険と言えるのが「煙草」です。

煙草には大量のニコチンが含まれているため、例えば幼児が誤って飲み込んでしまった場合、たった1本分のニコチンでさえ致死量に達してしまいかねない危険性があります。

 

 

また、日常の生活において身近に存在するもので、かつ同様に危険性の高いもので言えば、灯油やガソリン、ホウ酸団子、強アルカリ性または強酸性の洗剤や塩素系の漂白剤などが挙げられます。

どれも少量であれば大事には至らないでしょうが、大量に飲み込んでしまった場合には身体に深刻なダメージが残るおそれがありますので、特に小さなお子様のいるご家庭の場合には、くれぐれも子どもの手が届かない場所にしっかりと保管するようにしてくださいね。

 

なお、万が一、自分あるいは誰かが毒性の強い異物を大量に飲み込んでしまった場合などに、とても頼りになる心強い存在に、日本中毒情報センターの運営する相談窓口サービス「中毒110番」というものがあります。

せっかくの機会ですので、ちょっとここで紹介させていただきます。

 

  •  大阪 中毒110番 072-727-2499 (24時間 / 365日)
  • つくば 中毒110番 029-852-9999 (9時~21時 / 365日)

 

「誤飲」も「誤嚥」も、確かに一歩間違えれば危険な症状だと言えますが、それ以上に本当に恐ろしいのは、冷静に対応すべき状況においてパニック状態に陥ってしまうことだと言えるでしょう。

先ほどご紹介した2つある窓口のうち、1つは24時間365日対応していますので、まずは焦らず窓口に連絡してみて、「今すぐに病院に行くべきか」、それとも「家で様子を見ても大丈夫なのか」を相談した上で、どうか落ち着いて状況に対処なさるようにしてみてくださいね。

 

山城   



消化器内科豆知識
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